ピューと吹くジャガー THE MOVIE

監督 マッコイ斉藤 出演 要潤大村学 2008年/日本/99分 配給 ハピネット
週刊少年ジャンプで連載中のギャグ漫画が、実写で映画化を遂げた。原作は小中高生のみならず、20代の若者にも人気を博している話題作だ。
 主人公の酒留清彦(大村学)はプロのギタリストを志望し、バンドのオーディション会場にやって来た。するとそこには、たて笛を片手にギタリスト達と揉めている謎の男がいた。この人物の名はジャガージュン市(要潤)。彼との出会いが、清彦のその後の人生を大きく左右することになる。
 ジャガーの騒動のせいでオーディションが中止になり、他に進路がない清彦は仕方なくうさんくさい芸能人養成所に入所する。しかし、所長に騙され、ギターとは全く関係のない「ふえ科」に入れられる羽目に。しかもそのふえ科の講師こそ、あのジャガーなのであった。ジャガーに「ピヨ彦」と命名された清彦は、極端に個性豊かな他の生徒達と共に過ごさなければならなくなってしまった。そんなある日、突如としてふえ科に存続の危機が降りかかる。ふえ科の生徒達が学費を滞納したために、養成所は大赤字になってしまったのだ。ふえ科を救うには、数千万もの大金が必要だという。大金を工面するため、ジャガーらは数十億円もする世界的な珍笛などの美術品強盗を計画する。乗り気でない清彦も渋々計画を実行するものの、運悪く本物の強盗団が現れてしまう。果たして彼らはふえ科を救えるのか。そして珍笛入手をもくろむ謎の集団との対決の行方は――。
 この映画の楽しみ方は十人十色だ。原作ファンなら、漫画とはまた違った面白さを探すもよし。原作を読んだことのない人でも、独特な世界観に浸かってみるのも良いだろう。役者陣もその独創性を生み出すのに一役買っている。ジャガーを演じる要潤は、かなりのはまり役である。そのジャガーに振り回されっぱなしの清彦役の大村学も、鬼気迫る熱演ぶりであった。また、突然始まるダンスシーンなど、とにかく予想のつかない展開に、最後まで飽きを感じさせない作品だ。(美馬香織)