渾身の走り及ばず 自転車愛好会

 昨年12月9日、国営昭和記念公園にて全日本学生クリテリウムが開催された。このレースでは1周5kmのコースを8周走る。スプリントと呼ばれるスタート地点を通過する際の順位に応じて、7周目までは3位、8周目では10位までポイントが与えられ、その合計で勝敗を決定する。本学からは5人が出場。鈴木禄徳選手(済2・よしのり)は都内の大会で数々の好成績を残しており、今大会でも上位を目指している。また亀山沙織里選手(政1)も、本学唯一の女子選手としてどこまで実力を発揮できるか注目を集めた。
 スタートフラッグが振られ、ついにレースが始まる。序盤から日本大を中心にペースアップが図られ、激しい勝負が繰り広げられた。ロードレースでは、速いときには時速60km近いスピードが出る。そこで、風圧や他選手の接触からエースを守る周りの選手の活躍が勝利への重要な鍵となる。本学も5人で得点を狙うが、なかなか先頭陣を捉えられない。しかも本学選手に落車やクラッシュに巻き込まれる不測の事態が起こる。そして3周目から鈴木選手一人で走らざるを得ない状況に追い込まれた。
 そのため鈴木選手は先頭集団の後ろに付き、最後に追い抜くという作戦を採った。6回目のスプリント前でスピードを上げ、トップを狙っていく。日本大と順天堂大との競り合いになり3位通過となったが、これで2点を挙げた。依然として各大学の選手とも1桁代しか獲得していない状況が続いていた中、この得点は大きい。最終周では1位に15点が与えられるため、逆転優勝も十分あり得るのだ。
 しかし、7回目のスプリントでは惜しくも3位以内に食い込めなかった。さらに、スプリント直後で他大の強豪選手に逃げを許してしまう。先頭から遅れを取ってしまった鈴木選手は、第2集団から追い上げを試みる。ところが最終スプリント直前で他選手と接触し、前輪が曲がってしまうアクシデントが発生。そのまま加速できず、鈴木選手の持ち点は2のままで、表彰台には届かなかった。
 コーナーが多く、接触などが起きやすいコースを一人で走らなければならなかったのが厳しかったと鈴木選手は振り返る。「これからはチーム全体の力の底上げが必要ですね。ただ今回自分はアシスト無しで得点できたこと、また亀山選手はリタイアしたものの良い走りを見せたことは収穫でした。年度内に残っているクリテリウムでは入賞を狙っていきます」と、鈴木選手は気持ちを切り替えて、次の大会に焦点を当てている。新たなタイトル獲得を目指して走り続ける彼らの活躍に、今後も目が離せない。(和田恵理子)