アジア研究拠点事業に採択される

「アジア研究教育拠点事業」は、アジアにおける世界的水準の研究拠点の構築を目指した事業である。この事業には、57件もの申請があった。その内訳は、国立大学24機関43件、公立大学1機関1件、私立大学7機関7件、大学共同利用機関法人2機関2件、独立行政法人2機関4件である。そのうち11件がヒヤリングを受け、最終選考により6件が採用された。なお、本学は人文系としても、私立大学としても唯一の採択である。
 本学の研究テーマは、「東アジア海文明の歴史と環境」。中国の黄河や長江から発生した文明は、朝鮮半島、日本へと伝わった。そしてそれは、相互の交流を通じて、より高度な文明に昇華されたのである。当研究では、東アジア地域の内海ともいえる海域を「東アジア海」と設定。そこで形成された「東アジア海文明」の特質と自然のかかわりを考えていく。
 研究期間は昨年11月24日から平成22年3月31日まで。当プロジェクトは永田学長を実施組織代表、史学科の鶴間教授を日本側コーディネーターに据える。また本学は、協定校である中国の復旦大学と韓国の慶北大学校とともに研究を行う。去る11月27日、百周年記念会館にて催された国際シンポジウム「黄河下流域の生態環境と東アジア海文明」は成功を収め、当研究の進行に弾みをつけた。
 今後は、環境とネットワークの2つのセクションに分け、研究調査を進める方針だ。三国共同で黄河下流域の三角州や東アジア沿海の海港を調査する。それらの成果に基づき、日本では中国・韓国の研究者を招いた学術交流セミナーを行う。加えて、中国と韓国でもシンポジウムを開く予定だ。また、参加研究者が情報を共有するため、多言語で同内容のHPとブログを立ち上げる。さらに、研究成果を市民へ発表するために三国の文化財を集めて、日本で「東アジア海文明展」を開催する計画もあるそうだ。共同調査やシンポジウムの準備を現地研究者と綿密に進めるため、東京・上海・大邱にインターオフィスを開設し、若手研究者をインターフェローとして相互派遣することになっている。