剣道部女子主将 木村 麻里さん(営3)

 剣道部女子の中心選手である木村さんは、本学が四大学定期戦で10連覇を達成する大きな原動力となった。団体戦で先鋒を務めるなど、チームを勢いづける存在だ。
 そんな木村さんは、1年生の12月に行われた団体の新人戦でデビュー。彼女は中学時代から竹刀を振り続けていたが、それでもデビュー戦には独特の雰囲気があったようだ。周りの選手を見てすっかり萎縮してしまったという。
 そんな状態で迎えた1回戦。戦局的にも精神的にも余裕のある状況で、木村さんの出番がやってくる。しかし、練習試合の経験もなかった彼女は緊張からか、思うように体を動かすことができない。平常心を取り戻せないまま、試合は終わってしまう。結局、勝利に貢献することはできなかった。
 続く2回戦でも、彼女は実力を発揮することができなかった。相手にペースを握られたまま試合は進み、隙が生じたその刹那に一本を献上。さらには、普段なら対処できるところを、まったく同じ攻撃で二本目も奪われてしまった。こうして木村さんのデビュー戦は、よいところなく幕を下ろした。
 この試合で彼女は、緊張感がある場面でも、それを乗り越えなければならないということを痛感。それからというもの、皆の期待に応えられなかった悔しさをバネに、日々稽古に励んだ。
 そうして過ごすうちに、試合に対する意欲が湧いてくる。いつしか「絶対にレギュラーになる」と決意。次第に練習にも身が入り出す。すると、2年生の5月には部内戦を勝ち抜き、見事に個人戦の出場権をその手に掴んだ。
 そして今では、結果を問わず自分の納得のいく試合ができるようになっている。それは、彼女が成長したことの証だろう。
 昨年の11月に主将となった木村さんは、「すべての定期戦に勝って、部員全員で喜びを分かち合いたいです」と抱負を語ってくれた。歴代の先輩たちがなしえなかったことを実現させようと奮闘中。剣道部の未来をその双肩に背負った彼女の新たなる挑戦が始まる。(山崎晃志)