デトックスとは?

 近ごろ流行の健康法であるデトックス。これまでは、体に栄養や筋肉を付け加えるといった「足し算」形式のものが主流であった。デトックスは今までのものとは全く違う。むしろ逆に「断食する」「汗を流す」など、余計なものは体の外に出す「引き算」の健康法なのである。蓄積された余分なものを外に出すことにより、様々な効果を得ることができるというわけだ。例えばデトックスを実行することにより、新陳代謝が活発になったり、血液やリンパ液の流れが活性化したりする。またそれだけでなく、美容効果や老化防止、むくみや肩こりの解消、生活習慣病の予防など幅広い効果が得られるのだ。
 それではまず始めにデトックスの意味について考えていきたい。そもそもデトックスという言葉を日本語に訳すと「解毒」となる。本来この言葉は、アルコールや麻薬などの中毒を治療する時に使用するものである。それにしても、なぜデトックスは解毒という意味を持つ言葉で命名されているのだろうか。
 近年、科学技術の進歩に伴い環境汚染が進み、私たちの周りには多様な有害物質が存在するようになった。その物質の代表的なものとして、水銀、砒素、アルミニウム、カドミウム、ニッケルなどの重金属類がある。有害ミネラルとも呼ばれるこれらは新陳代謝を弱め、たんぱく質酵素の形成を抑制してしまう。さらに体に必要な必須ミネラルの効果をも弱める。結果として、しびれ、めまい、不安感、頭痛、疲労感などの症状を引き起こすようになる。また、有害ミネラルは脂肪の燃焼を悪くするため、ダイエットにも悪影響をもたらすのだ。
 これらの不要な毒素が私たちの体内に侵入する原因には、様々な理由が挙げられる。まず身近な例として、水質汚染により汚染物質を蓄積した魚介類を口にしたり、古くなった水道管からの水を飲んだりすること。また工場からの排気ガスを吸い込むことも主な原因の一つだ。それ以外にも歯みがき粉やマーガリンなど、身の周りにあるものからもこうした物質は体に害を与える。つまり、私たちは日々の生活の中で、気づかないうちに毒素を体の中に蓄積しているのである。そこで、これらの物質を体外に排出する方法として、今脚光を浴びているのがデトックスなのだ。
 そんなデトックスにはいろいろなやり方がある。よく知られているのは、汗から毒素を追い出すもの。これには最近流行りの岩盤浴ホットヨガなどがある。また断食や必須ミネラル等の摂取など、食生活の改善により有害物質の活動を抑え、体内環境を整える方法も有名だ。さらに重金属類は脂肪に溜まりやすい傾向がある。そのため、脂肪の燃焼を助けるアミノ酸を摂ったり、進んで体を動かしたりすると、有害物質を排出することもできる。
 では本当に、人間は毒素を取り込んでいるのだろうか。これを調べるためには、毛髪分析という調査方法がある。今の日本人の大多数は、この検査によって体から何らかの毒素が検出されるという。さらに有害毒素は大人よりも子供の方に害を及ぼしやすいと言われている。特に胎児は、母体からへその緒を通して毒物を受け取るため影響が強い。もはや有害毒素の蓄積は私たちの次の世代に関わる重要な問題なのである。
 このようにデトックスは、効率よく体を浄化するので、健康を維持するにはもってこいだ。これを機会に、この新しい健康法を実践して、読者には体の中からきれいになってもらいたい。(吉崎大記)