漫画「あしたのジョー」の主人公、矢吹丈は、最終戦でボクシングに燃え尽きる。幼かった私は彼の姿に憧れ、よく将来の自分を思い描いてみたものだ。先日、私は久々にこの漫画を手にした。その時ふと、これまでの人生で何回、完全燃焼できたのだろうかと思いを巡らしてみた▼その結果、自信を持って無我夢中になれたと言えるのは、たったの1回。それは入試を控えた中学時代のことだ。私は志望校合格のため、毎日必死だった。入試の恐怖なんて消え失せる程、とことん勉強に打ち込んだ。そして努力の末に合格。この喜びは一生忘れることができないだろう▼しかし、高校入学と同時に堕落した生活が始まる。私は高度な勉強に戸惑い、途中で投げ出した。部活のラグビーも練習がきつく、何度辞めようと考えたことか。その頃の私は自分に甘く、全てにおいていい加減さだけが漂っていたのだ。そんな生活を過ごしていては、完全燃焼までは程遠い。案の定、大学受験にも失敗した。なぜ中学生でできたことが、成長したはずの自分にはできなくなってしまったのか▼だがもう一度、昔と同じ達成感に浸ってみたい。そのためには今後、何に対しても妥協せず、ぶつかっていくしかない。まずは新期編集長として、毎号の発行に全力を尽くすことを決意する。(幌)