最終戦での劇的勝利 アメリカンフットボール部

「1年間の集大成を見せる気持ちで、今シーズンを何としても勝って終わらせます」。試合前、寺島康平主将(営4)が語った言葉は、チーム全体の心境を表していた。対戦相手の武蔵工大は、現在リーグ1位の強敵。自分たちの力を信じ、チームが一つになって戦わなければ勝てないことを誰もが認識していた。
 最終戦という独特の緊張感が漂う中、試合は始まった。本学は序盤から、ディフェンス陣が好守を連発。安定した守備で相手のゲイン(前進)を許さず、試合の流れを掴ませない。オフェンスでは、クオーターバックの横川祐治選手(法4)が中心となり、パスとランを効果的に使い、攻め込んでいく。しかし、肝心なところで武蔵工大の守備を崩すことができない。リズムを作れないまま、第1クオーターが終了した。
 第2クオーターに入ると、相手の素早いパス回しに、本学はかき乱され始める。勢いに乗られ、エンドゾーンまで詰め寄られる厳しい状況に陥った。だが相手のタッチダウン寸前で、福田健児選手(哲2)がこれを阻止。苦しみながらも、ピンチを乗り切った。
 ハーフタイムに円陣を組み、一致団結して挑んだ第3クオーター。本学は増川敬亮選手(法4)の好キャッチや相手の反則などで、フレッシュを重ねていく。エンドゾーン手前まで攻めたが、惜しくも直前で倒され得点には至らない。試合は膠着状態に入り、両校とも我慢の時間が続いた。
 試合が動いたのは、第4クオーターの開始直後だった。スクラムからこぼれたボールを相手がキャッチ。一気に走られると、本学はこれを止めることができず、タッチダウンを奪われる。その後のパットは外れたが、この時点で0―6。終盤で、相手を追いかける立場となってしまった。
 勝利を諦めない本学は、怒涛の攻撃で相手を圧倒していく。第4クオーター残り1分、ゴール前までボールを進め、ラストチャンスを迎えた。張り詰めた空気に包まれ、本学は最後の攻撃に臨む。速攻に望みを託し、エンドゾーンで待ち構えていた川嵜秀徳選手(営4)へ横川選手がパスを送る。これが見事に通り、タッチダウンに成功。土壇場で同点に追いついた。そして興奮冷めやらぬまま、決まれば逆転のパットに挑む。「これまでのキックの中で一番緊張しました」という寺島主将がこれを確実に決め、7―6と逆転。勝利をたぐり寄せる、貴重な勝ち越し点を挙げた。
 相手に攻撃権が移り、本学は残り僅かな時間を決死のディフェンスで凌ぐ。そして寺島主将のインターセプトと同時に試合は終了。劇的な逆転勝利を収め、会場が大歓声に沸いた。「パットが決まった時は、最高の瞬間でした。4年間で最も嬉しかったです」と寺島主将は満足げに試合を振り返った。
 最後まで諦めない姿勢で、勝利への執念を見せた本学。最高の形で今シーズンを締めくくり、来季へ弾みをつけた。この勝負強さを武器に、彼らは1部昇格という目標へ向け、突き進んでいくだろう。(下里豪平)