デジタル三種の神器のひとつとして、世間に定着したデジタルカメラ。大学新聞社に2台し
かないこのカメラを、部員はまるで宝器のように取材へ持っていく。輪郭がくっきりとした写真は、特にカラー印刷の紙面で人目を引くようだ▼私達がデジカメを好む理由はまだある。取材の際、事前にシャッター音を消しておけば、不意の一音で場の空気を乱すことがない。また、必要なデータのみを現像するので、写真代を大幅に削減できる▼ところが先日、紙面を眺めていた私は、この万能なカメラで撮った写真に愚痴をこぼしてしまった。現物は、こんなにも鮮明に自分の視界に入っただろうか。ぬくもりのあるはずだった1コマが、写真に全く表れていない。その作り込まれた明るさに、現場を忠実に伝えられないもどかしさを覚えた▼散々文句は言ったが、使い勝手が良く、写真の濃淡が映えるデジカメを根底から否定する気はない。今回の取材にもこの次世代カメラにお供を頼んだ。やはり便利さを追求するのは仕方ないのか。(飛)