強い探求心胸に秘め

 今回は経済学科教授、福地純一郎教授に米国留学の思い出を語っていただきました。
 決意の大学院留学
 私は、一橋大学大学院で、大学時代から興味を持っていた統計学を勉
強しました。ここでの教育システム
は素晴らしいものでしたが、米国の統計学科で研究したいという思いから、米国アイオワ州立大学への留学を決意しました。友人が米国の大学院への留学を決めていたことも、私の意思決定に強い影響を与えたように思います。
 繰り広げられる競争
 米国の大学院に入学し、最初の半年間は全て自費で勉強しました。大学院では、優秀な学生にティーチングアシスタント(TA)の仕事が割りあてられ、給料が貰え、授業料も大変安くなります。しかし、その枠は限られているため、トップレベルの成績を修めなければなりません。そのため、私は毎朝7時に起きて授業に出席、その後夜12時まで図書館で勉強という毎日を送りました。結果的には仕事を得ることができ、オフィスも割り当てられて喜んだことを覚えています。しかし、いったんTAになってからも、成績が悪ければ次の学期には首になります。留学中、何回か旅に出かけましたが、途中、帰ったらオフィスが誰かに奪われていたという夢を見て、うなされることが何回もありました。それほど、米国大学院での競争は熾烈でした。
 米国での4年半
 留学中は辛いこともありましたが、同じ目的を共有する友人にも恵まれ、楽しい学生生活でした。日本とは異なる文化や社会が存在することを知ることができたのも貴重な体験でした。ただ、米国で勉強、研究をした4年半を振り返ると、米国滞在中にもっと専門以外の広い教養を身につければ良かったなとも思います。しかし、あれが当時の私の限界だったのかもしれません。(取材・構成 増井亮太)
 PROFILE
 1987年学習院大学経済学部卒業。一橋大学大学院経済学科研究科修士課程修了。95年より広島大学の講師、助教授を経て00年より現職。