涙の全顔撮影体験

 日々の生活の中で蓄積されていく、紫外線によるダメージ。一度は肌の状態を調べてみたいものだが、男の私が一人で行くのはさすがに恥ずかしい。そこで、女性の先輩について来てもらい、肌画像解析装置「ロボスキンアナライザー」を備えた病院へと向かった。
 私たちが行った病院は、広尾駅から徒歩30秒に位置する「広尾皮フ科クリニック」。受付を済ませ、ホールで撮影の準備が整うのを待つ。10分ほど経つと先輩の名前が呼ばれ、別室へと行ってしまう。私は一人ホールに取り残されてしまった。先輩を待つこと数分。段々と寂しくなってきた。また、撮影を直前に控えて少しずつ不安な気持ちも強くなってくる。多少ワクワクする気持ちはあるものの、それ以上に胃が痛い。たとえ男であっても、肌が汚いと判定されるのは怖くてたまらないものだ。そんなことを考えている内に、先輩の撮影は終了した。そして、私の名前が呼ばれる。恐怖の撮影の時間が始まった。
 部屋に入ると、今回の主役である撮影装置が目に入る。これで、全顔を正面、側面から撮影し、しわやシミ、肌の明るさや毛穴数を測定するのである。あごを装置に乗せて撮影開始。ちなみに全顔撮影の際、2秒間まばたきを我慢しなければならない。まばたきが多い私には、この時間が実につらい。胃だけでなく目までもが痛くなってきた。何とか撮影を終え、次はマイクロスコープを使い肌のキメを測り、最後に水分値と油分値を測定。全ての検査を終えた私はロビーに戻り、先輩と共に診断の結果を待った。数分後、スタッフの方が部屋から出てくる。いよいよ診断の結果が分かる。と思いきや、二人とも再撮影とのこと。どうやら上手く撮影ができていなかったらしい。多少気が抜けたものの、再び撮影を済ませる。しかし、何故だか私の撮影だけは2回目も成功せず、3回目に突入。まるで、この後に告げられる結果の悲惨さを暗示しているかのようだった。
 予想外の出来事があったものの、先輩と私は先生から診断結果の説明を受ける。先に説明を受けた先輩の結果は、ほとんどの項目で肌年齢が同年齢平均値、もしくは実年齢よりも若い数値。さすがは先輩。と思ったが、先生曰くメイクを落とさずに測定したため、結果は正確な数値ではないらしい。来院の際、女性の方はメイクを落とすことを念頭に置いて、化粧道具を持っていきましょう。
 そして、ついに私の結果が発表される。その数値は、自分の予想をはるかに超えていた。しわ数を除く全ての項目の肌年齢が30歳。毛穴数に至っては、平均値の10倍である1466個だ。最悪な結果に私は動揺を隠せず、しばらく立ち直ることができなかった。
 初めての全顔撮影の結果は散々なものであった。しかし、今回の経験が美肌になるための第一歩であると信じたい。目指せ、綺麗なおじいちゃん。まずは、日焼け止めでも塗ってみよう。(増井亮太)