ラグビーから人生を学ぶ ラグビー部吉田征令主将(済4)

 高校時代にラグビーを始めた吉田さん。当初、大学では続けるつもりはなかったが、このスポーツの楽しさが忘れられず、今でもラグビー漬けの毎日を送っている。「やることはこれしかありませんでした。やめられないスポーツなんです」と熱い思いを語る。吉田さんにとってラグビーとは「人生に欠かせないもの」となっているのだ。
 吉田さんは入部と同時に、早くもセンターのポジション争いに加わる。そして努力が認められ、6月には甲南戦出場を果たした。そんな吉田さんが今でも忘れられない一戦がある。その年の関東大学対抗戦、対成蹊大戦だ。試合は後半35分あたりまで本学がリード。勝利が目前まで迫っていた。しかし終了間際、逆転のトライを奪われてしまい、わずか1点差でノーサイド。最後に待ち受けていたまさかの逆転負けは、悔やんでも悔やみきれなかった。吉田さんは「公式戦で初めて負けるという経験をしました。負けるってこんなにも悔しいものなんだって思いましたね。試合後ずっと泣いていました」と振り返る。その試合での悔しさを胸に、吉田さんはより一層ラグビーに打ち込んだ。その後スタンドオフにコンバートし、チームに不可欠な存在にまで成長していったのだ。以降は順調に過ごしてきたかにも思える吉田さんだが、挫折も味わった。
 2年生の頃、周りの練習に対する姿勢が気に入らず、チームを根本から否定したことがあった。少ない練習量のわりに「勝ちたい」と言い続ける仲間が許せなかったからだ。だが、それが原因で仲間の反感を買ってしまう。当時の主将には「もうお前とは一緒にやりたくない」とまで言われ、一時はチームと決裂。途方に暮れたが、学年が上がり、部をサポートする立場になるにつれて、チームは1人では動かせないということを実感した。「自分への信頼があるからチームが自分のために動いてくれますし、逆に自分はみんなのために動けます。今はこの視点を忘れずにプレーしています」。信頼関係の大切さをラグビーを通じて再認識したのだ。
 主将となった現在の目標は、自分たちのプレーに自信を持てるようなチームを作り上げること。吉田さん主導のもと、本学ラグビー部はAグループ昇格を目指す。(佐藤貴裕