好奇心が薄い私の数少ない趣味に、能面観賞がある。観賞などというと偉そうだが、展示会に行き、単純に観て楽しむ程度のことだ。
 高校生の頃、私には「大学生になったら、面打ち教室に参加する」という目標があった。面打ちとは木材を彫って面を作成することだが、その目標は未だ実現していない。時間がない、お金がないと言い訳を繰り返し今日に至るのである。
 よくよく思い返すと、私は2年間の大学生活において、努力して結果を残すという過程を放棄し続けてきた。その例は、欠席続きの授業、参考書を購入しただけで受験しなかった資格試験など、数え出したら夜が明けてしまう。
 このままの状況は大変宜しくない。1年の計は元旦にありということで、「4年生の春に面を打つ」という目標を立ててみた。その実現のためには、様々な「努力」が必要になる。費用の貯金、授業単位の修得、そして卒業論文の無事提出。普通であればごく当たり前のことだが、生来の怠け者である私にとっては、その「普通」が何よりも難しい。だが困難から逃げてしまえば、何も生まれないことは、この2年間で経験済みだ。
 この場を借りて、自己改革を宣言したからには、必ず目標を実現させよう。その日を夢見ながら、教科書とアルバイト情報誌を眺める二十歳の冬である。(順)
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