社会のルール著作権とは

 近年、「著作権」という言葉を耳にすることが多い。これは文化の発展を目的とし、著作物が社会的に保護される権利のことを指す。知的財産権の1つとして法で認められている。
 著作権の対象となる著作物は「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定められている。つまり有形無形に関わらず、あらゆるジャンルの文化的な創作物に著作権が保障されるということだ。この権利を主張するのに、申請は特に必要ない。何かを創作したその時から著作権が生じることとなる。これを無方式主義といい、日本を含め採用する国も多い。
 著作者の権利は著作者人格権と財産権の2つから成る。著作者人格権は自分の作品を公表するかどうか、また氏名の表示についてなどの権利だ。その中には、同一性保持権という無断で著作物を改変されない権利もある。著作者人格権は著作者のみが持つもので、譲渡や相続などはできない。財産権は主に複製する際や、公の場で作品を発表する場合における権利である。こちらは他人に譲ることができ、受け取った人が著作権者となる。
 しかし、著作権はいつまでも適用されるわけではない。「一定の期間を経た著作物は文化的遺産として、社会全体で広く自由に利用するべき」という考えに基づき、保護期間が設けられている。原則として50年、映画の場合は70年保護されるのだ。例えば漫画家の手塚治虫氏の漫画は、氏が亡くなった1989年から50年後の2039年まで保護される。その後は自由に利用することが可能だ。
 このように複雑な構造を持つ著作権では、いくつか問題点がある。キャラクターの著作権がその一例だ。漫画や小説は保護されても、その登場人物には適用されないというのである。過去には「サザエさん」のキャラクターを無断で使用したバス会社が作者から訴えられる事件もあった。この通称「サザエさんバス事件」は、原告の勝訴で幕を閉じたが、キャラクター全てが著作権で守られるかは曖昧だ。このような事例から見て、まだまだ法整備が必要な分野だと言える。
 さて、実際に著作物を利用する際にはどうすれば良いのだろうか。まず、日本で保護されている作品であるか、保護期間中であるかを確かめる。次に、自由に使える場合であるかを確認しよう。私的に限られた範囲や学校教育において利用するときであれば、著作物は自由に使うことができる。以上の条件から著作権が適用される場合は、著作権者に連絡して利用の承諾を得なければならない。
 これをせず著作権を侵害した場合、権利者は侵害者に対し民事上の請求を行うことができ、さらに告訴して処罰してもらうこともできる。最大で10年以下の懲役などが科せられることから、重大な犯罪であることが伺えよう。
 著作権に対する理解や保護の度合いは、その国の文化のバロメーターであると言われる。国際的にも重要視される著作権について、私達は正しく理解しなければならない。それが創作物を享受する上で、ルールとしてもマナーとしても求められるのだ。(筒井久実子)