動植物の静かな楽園 血洗いの池

 血洗いの池―名前だけ聞くと何だか不気味な感じで、近寄り難いと感じる人もいることでしょう。けれども、ここは特に心霊スポットというわけではありません。それにも関わらず、いったい何故このような、おどろおどろしい名前がつけられたのでしょうか。
 実は、血洗いの池には有名なエピソードがあります。赤穂浪士の1人の堀部安兵衛が、「高田馬場の決闘」において叔父の仇を討った血刀をこの池で洗ったというのです。しかし、残念なことにこの話は全くのフィクション。これは、大正時代に学習院高等科の文学青年たちによって作られた話なのです。それでも、こういった物語がそのまま池の名前になるなんて、何だか歴史ロマンを感じますね。
 さて、血洗いの池という名前からは全く想像できませんが、実はここ、癒しのスポットとして密かに人気を博しているのです。一帯に生い茂る木々は、四季折々でその表情を変え、いつも私たちの心にゆとりを与えてくれます。さらに、池を悠々と泳ぎ回る鯉の姿や、可愛い小鳥たちのさえずりは、都会の喧騒を忘れさせてくれることでしょう。ただし、時には大事な癒しの空間をぶち壊す不届き者が現れます。その正体は小さな虫の大群。特に夏場は頻繁に襲ってきますので、くれぐれもお気をつけ下さい。
 希望に満ちた大学生活。でも、時には思い悩むこともあることでしょう。そんな時は、この池の動植物たちと触れ合ってみてください。きっとあなたの心をリフレッシュしてくれるはずです。(増井亮太)