学生たちの読書習慣

 では、本学の学生においても、本を読まない人が実際に増えてきているのだろうか。その実態を把握するために、アンケート調査を実施した。
 まず、読書の習慣についての質問には、半数以上の学生が「最近本を読んだ」と回答。読まれた本のジャンルは、小説が6割に及んだ。次いで学術書、実用書、ライトノベル、新書の順である。「読まなかった」を選んだ人の意見で、「本を読むのが苦手であるから」といったような理由はごく一部であった。しかし、「時間がないから」という人は非常に多いことが判明した。
 先月中、本を何冊読んだかの問いに対しては、1〜4冊が大部分であり、10冊以上は1割にも満たない。大学生は学業以外にもサークル活動、アルバイトと忙しく、読書をする時間を見つけるのはなかなか難しいようだ。そこで、読書をしている人はいつ本を読んでいるのかを探ってみた。「就寝時や通学時に読む」と答えた人が目立ち、「長期休暇を利用する」はほとんどいなかった。このことから、読書を積極的にしている人は、毎日短い時間の中で行なっていることがうかがえる。
 そして、本を読む目的は「趣味だから」という人が半数以上を占めた。では、今後の読書をする動機付けは何であろうか。多くの人々は大学での勉学に活用するためと答えた。また、就職活動へ向けてのスキルアップや教養を身に付けるためなども挙げられた。内面を磨くには読書が欠かせないと、多数の学生が感じていることに気が付く。
 さらに、本を購入する時のポイントについては、「内容」や「話題性」が大きな決め手となるようであった。テレビなどのマスコミに取り上げられた本は、やはり人気が高まるのであろう。他の意見では、「作家」や「値段」で判断するとしている。この場合は、書店に直接行って探しているそうだ。
 本に関する情報を得るための媒体としては、インターネットとテレビを利用している人が数多くいた。どちらも要領よく情報を得られて便利なので、慌しい現代人のニーズに合っているといえる。だが、新聞や雑誌などの紙媒体を頼りにしているという声もあった。今もまだ伝統的なメディアが信用されているということであろう。
 以上の結果からいえるのは、深刻ではないにせよ、本学においても読書量が十分だとは言いがたいということだ。それは、学生自身も認識しているようである。また、書物の利用価値は、今も変わらず高い支持を得ていると分かった。多忙であっても本を読むためには、ある程度の時間を確保し、自分の求める本を見つける能力を身に付けることが大切だ。読書の習慣をどのように形成していくかが、これからの課題となるだろう。(木村明子)