演劇 舞台が秘める可能性 

 今年度から、大学院に「身体表象文化学」という新専攻が登場した。本学に、新たな風を吹き込んだこの学問分野に注目してみた。
 演劇と聞いてあなたはどのようなイメージを抱くだろうか。映画や小説などと違ってなかなか踏み込みにくい世界だと感じている人が多いかもしれない。実際、演劇となると学校行事でしか見に行ったことがない人もいるだろう。そうした中、企業側はミュージカルやお笑いなど、比較的身近に感じるジャンルを提示している。演劇市場も純粋な舞台よりもミュージカル系を中心に拡大しているようだ。
 一方で、従来娯楽として見られてきたものに学問的な価値を見出そうとする傾向が近年見られる。例えば、マンガやアニメーションが日本の文化として再認識され、「マンガ学」というものまで確立されたのもその一つと言えよう。
 こうした流れを受け、本学大学院でも身体表象文化学専攻が新設された。ここでは、舞台芸術、マンガ・アニメーション、映画といった、今までは研究の領域内に入り込まなかったものが本格的に学問の対象となっている。新たな試みなだけに、具体的な研究方針は模索中のようだ。
 今号ではこのような学問という視点から捉えた娯楽、特に「演劇」という分野に焦点を当ててみた。演劇に興味のある人もそうでない人も、違った観点から見た舞台の世界を知ってもらえれば幸いである。