どこでもドアにタケコプター。子供の頃、次々と繰り出される、まるで魔法のようなドラえもんひみつ道具に私は心を奪われていた。だが、いつの日からか、その全てが実際には実現し得ないものだと気づいたのである。
 ところが、先日驚くべきニュースを耳にした。透明マントが理論的に作成可能である、と発表されたのだ。空想の世界を現実に近づけた研究者たち。彼らの頭の中には、不可能という言葉はないのだろう。
 そういった夢を追い続ける人がいる一方で、夢を持てずにもがき苦しむ人もいる。過去の失敗や経験不足から自信が持てず、身動きが取れなくなってしまっているのだ。現在、日本が抱えているニートに関する問題がその象徴と言えよう。
 かく言う私も、己を信じることができない人間の1人である。勝手に自分の限界を定め、物事を端から諦めてしまっているのだ。しかし、よく考えれば私は失敗したときの逃げ道を作っているにすぎない。
 大学は学問を学ぶ場であると同時に、自分探しの場でもあると思う。社会では経過よりも、成果が重視される。そう考えると、結果を気にせず自由に挑戦できる期間はあまり残されていない。自分の可能性を狭めないためにも、強い意志を持ち、困難と思われる事柄にも積極的に取り組んでいきたい。(謳)