食生活を見直す

 日々の食事を通して、知らず知らずのうちに食品添加物や農薬といった有害物質が私たちの体内に入ってきている。これらの物質を摂取しないように心掛けるのが望ましいのだが、なかなか実行できないのが現状ではないだろうか。そこで、日本におけるデトックスの第一人者、銀座サンエスペロ大森クリニックの大森隆史院長に学生でもできる、食によるデトックスについてお話を伺った。
 まず初めに、少しでも体内に入る毒素を減少させるすべはないのかを聞いてみた。「野菜などに残留している農薬を除くためには、ミネラルウォーターや浄水器の水でよく洗うことが効果的です。また、軽く湯通しをするだけでも農薬をかなり落とすことができますよ。さらに忘れてはならないのが、水銀などの毒素を含んでいる魚介類です。流水でよく洗った魚のエラやわたを取り除くなどの対処をしてください」。
 では、具体的にはどのような食材を摂取すればよいのだろうか。「実は、解毒作用の高い食材は、自然界のすべての食物だと言えるんです。これらの食材をバランスよく摂ることでデトックス効果が得ることができます。その中でも、食べ物自体にその作用が含まれているものとしては、しょうが、にんにく、ねぎなど香りの強い野菜があります。これらの食材を食事に取り入れると良いと思います」。また、毎日きちんとした料理を作れないという人には、たまねぎの皮茶がおすすめだという。「自分でたまねぎの皮を煮出しても構いませんが、その場合は無農薬のものを使ってください。それが手に入らない時や、煮出すのが面倒だという人は、市販されているものを使うことをおすすめします。その際、オレンジジュースや酢など、デトックス作用のあるものを一緒に混ぜるとさらに効果が増しますよ」。
 ところで、学生の中には、ジャンクフードを好む人や20歳以上の人の中には、毎日のように飲み会に参加するなど、生活習慣の乱れた人がいる。このような人にもデトックスは有効なのであろうか?  「もちろん、規則正しい生活をし、バランスのとれた食事を摂ることが理想です。しかし、このように不規則な生活を送っている人にこそ、毎日少しずつデトックスを実践して体の調子を整えてもらいたいです」。
 だが、なかなか生活リズムを正すことができない人もいるだろう。そのような人は、無理をしてまで生活改善をする必要はないという。「飲み会などの付き合いを断ることがかえってストレスを溜めてしまうのなら、無理に自粛する必要はありません。イライラしたり、精神的不安を抱くと、せっかくのデトックス効果を半減させてしまうんです。もしも飲みすぎてしまうことがあったら、野菜ジュースなどを飲み、食物繊維やビタミンの補給をしてください」。ストイックに陥ってストレスを溜め込んでしまうよりも、楽しむ時は楽しむというように、めりはりをつけることが重要であるようだ。
 大森先生は、自分にあったペースかつ楽しむことがデトックスを行う上で一番大切であると言う。毎日きちんとした生活を送ることがストレスとなってしまう場合には、自分にとって苦痛にならないデトックスの方法を選ぶと良いだろう。それによって肉体的にも精神的にも快適な日々を送ることができる。いつか始めようではなく、今日から少しずつ、毎日続けて行うことがデトックスを成功させるコツのようだ。(掛川千尋