浴衣の選び方合わせ方

このように、変化を遂げてきた浴衣は、「和ブーム」の到来と共に再び需要を高めてきている。そのため種類も多様化し、選択の幅が広がった。そこで、ここでは浴衣選びのコツを紹介していこう。
 一口に浴衣といっても、その生地は多数存在する。これらの特徴をしっかり捉えておくことが、自分に合った浴衣選びへの第一歩となる。数ある生地の中で、最も一般的なのが綿コーマ地だ。この生地は肌触りがよく、吸湿性にも優れており、値段も手頃になっている。
 手入れのしやすさで群を抜いているのが、ポリエステルだ。この生地はシワになりにくく、家でも簡単に洗濯することができる。張りや光沢があるのも魅力のひとつである。
 生地にこだわるのであれば、綿縮や綿絽といった選択肢もある。値段こそ綿コーマ地やポリエステルよりも高いものの、素材にニュアンスがあり、涼感に溢れている。ただし、何度も水に通すと張りがなくなってしまうので、洗濯はクリーニング店に頼むなど工夫しなければならない。
 また、浴衣を着用する際は、帯の選び方にも注意を払いたい。浴衣用の帯は、主に兵児帯と半幅帯の2種類。一般に兵児帯というと、男性か子供ものであるというイメージが強いかもしれない。しかし、最近は若い女性の間からも、絶大な人気を集めている。兵児帯は半幅帯と比べて柔らかく、誰でも簡単に結ぶことができるため、初心者でも安心だ。
 多くの人にお馴染みなのは、半幅帯であろう。その魅力はなんといっても、バラエティーに富んだ結び方にある。結び方によって、様々な表情を見せる半幅帯は、浴衣を着る楽しみを一段と増してくれる。
 浴衣を買う際には、当然自分の体型にあったものを選ぶことも重要になってくる。小柄な人であれば、帯を浴衣と同系色にすることにより、背を高く見せる効果が期待できる。逆に、必要以上に背を高く見せたくない人であれば、帯を浴衣と反対の色にすると良いだろう。痩せ型の人であれば、膨張色である暖色系の色。太めの人ならば、引き締まってみえる寒色系の色を選ぶのがセオリーだ。これらのことを考慮した上で、購入時には1度は必ず試着して、顔映りや全体のバランスを見ることを心がける必要がある。
 浴衣の印象は、小物との合わせ方次第でも大きく変わってくる。小物の代表格とも言えるバッグともなれば、その影響は一際大きい。これらを浴衣と合わせる基本は、色を合わせるということである。同系色ですっきりとまとめたり、反対色と組み合わせることにより、華やかさを強調するなど方法は様々だ。また、浴衣にはやはり和風の物がよく似合うので、巾着や籠かばんを使うとより浴衣と合わせやすくなる。
 さらに、浴衣姿のワンポイントとして欠かせないのが、うちわと扇子だ。花火大会や縁日などのお祭りではうちわ。食事など、優雅に決めたいときには扇子がお勧めである。状況に合わせて使いこなすと良いだろう。
 無数に存在する浴衣の組み合わせ。その中から自分に合ったものを見つけ出すのも、浴衣を楽しむ手段のひとつである。浴衣を自在に着こなし、いつもとは一味違った夏を満喫してみてはいかがだろうか。(増井亮太)