気温上昇日本への警告

 現在、地球温暖化による様々な現象が、世界各国に脅威を与えつつある。しかもその影響は、確実に日本人の生活にも迫ってきているのだ。しかし、多くの学生は、具体的にどのような問題が起きているのかを知らないのが現状だろう。そこで、ここでは国内で見られる温暖化現象についてまとめてみる。
 日本では最近、温暖化を原因とする異常気象が多く見られるようになった。特に台風や局地的豪雨などは、深刻な被害をもたらしている。他にも、猛暑日の増加や、暖冬にともなう降雪量の減少など、身近なところに温暖化は現れているのだ。
 それでは、温暖化が引き起こす問題についてより詳しくみてみよう。第一に注目するのは、自然生態系への影響だ。自然界で起きている現象は、主に植物の開花時期の早期化と、動植物の生育地の移動である。具体的な例としては、サクラの開花時期が早まっていることや、サルやイノシシの生息地が広がったことなどが挙げられるだろう。それだけでなく、農林業へのダメージも忘れてはならない課題である。気温が上昇することで、穀物の生産量が低下し、食糧不足を招く恐れがあるのだ。
 なお、生物種の異変は海の中でも確認されている。熱帯性プランクトンの異常発生で、サンマやサバが急増したり、ウミガメの産卵場所が北上したりという事象が観測されたのだ。水温の上昇によって、海洋の生態系のバランスが崩れ始めているのである。そして近年、最も懸念されている問題がサンゴ礁の白化だ。サンゴは、水温が1度上がっただけでも被害を受ける生物で、世界各国の海で白化が進んでいる。それと同様の出来事が、沖縄の海のサンゴ礁にも起きているという。美しい海を維持するためにも、問題の早期解決を目指さなければならない。
 また、海に囲まれた島国である日本にとって、海洋生物の異変とともに、注目すべき事例がある。それが海面水位の上昇だ。現段階で地球の水位は、100年前よりも20センチほど上昇している。もしも、このまま温暖化が進み、沿岸域の海面が1メートル上昇すると、日本の約9割もの砂浜が消失してしまうのである。
 さらに温暖化の猛威は、自然界のみならず、人体にも及ぶ。日本では熱中症や食中毒患者が増加しており、今後、肺炎罹患率も大幅に高まると言われている。その上、気温の上昇で増えた蚊が日本に移動してくることにより、デング熱などの感染症が広まると予測されている。温暖化によって、私たちが命を落とす危険性は、決して低くはないということを認識する必要があるだろう。
 今回扱った温暖化による現象は、あくまで一例にすぎない。これら以外にも、地球は数多くの難題を抱えているのだ。「私たちには関係ない」と、その現状を甘く考えるのではなく、本腰を入れて向き合ってみよう。それが、人間と環境との関係を修復する、第一歩となるはずである。(賀来潤恵)