[2面]淡い青春の調べ アンダーグラフ

【3日 百周年記念会館】
「表面的でないココロの奥にある喜怒哀楽を形にした音楽を創っていく」という意味の名を持つバンド。それが今年のゲストのアンダーグラフだ。偶然にも彼らの理念には、今回の大学祭のテーマと共通する点がある。その言葉通り、一曲一曲に深い想いを込めたライブを展開してくれた。
 開演と同時に照明が落ち、会場が闇に包まれた。次の瞬間には真っ赤なライトを背にメンバーが登場。興奮した観客は総立ちになり、大きな歓声を上げた。そして1曲目の『パーソナルワールド』『枯れたサイレン』が演奏された。アップテンポなロックナンバーの連続に、会場のテンションは一気に上昇する。
 2曲を演奏し終えると、ボーカル兼ギターの真戸原直人さんが「今日は何もかも忘れてライブを楽しんでください」と呼びかけた。そして間髪入れずに次の曲が始まった。最初の2曲とは打って変わり、切ないバラードが続く。その中で韓国映画私の頭の中の消しゴム』の日本版イメージソングである『遠き日』も披露された。映画になぞらえた感傷的な歌詞に、会場中が真剣に聴き入る。曲が終わると、大きな拍手が沸き起こった。
 しんみりとした雰囲気の中、『また帰るから』が歌い出される。「そのままでいい」「君は今でも誰かに愛されてるよ」といった心温まる励ましの歌詞に、会場も癒されたようだ。
 MCでは、ベースの中原一真さんが大学生活への憧れを告白。大学祭のパンフレットに載っていた、本学構内のデートスポット紹介を見たそうで、「いいなあと思った」と不平をこぼした。すると観客からは笑い声が起こり、会場は和やかなムードに。
 そうしたところで「みんなの知っている曲をやります」と前置きし、彼らを代表する『ツバサ』が始まった。切ない歌詞とメロディーで、幅広い年代から支持を得ているこの曲。観客も歌の世界に陶酔していた。
 その後は一転して、疾走感のある爽やかな曲が続く。まずは「学習院にも明るき未来が来ますように」と『アカルキミライ』を演奏してくれた。続く『ピースアンテナ』では、観客もピースサインを作ったり、ボーカルと一緒に歌ったりと盛り上がりは最高潮に。会場中が一体となり、バンドと観客の距離が近づいたようだ。
 最後の曲『パラダイム』が始まると、観客も別れを惜しむかのように精一杯の手拍子を送る。彼らがステージを去っても会場の熱は冷めず、自然とアンコールの声が上がった。それに応じ、再び舞台に登場したメンバー。11月21日にリリースされる新曲『セカンドファンタジー』と、彼らのライブの定番曲『忘却の末、海へ還る』を熱唱してくれた。メンバーも観客も飛び跳ねんばかりの勢いで、最後のひとときを存分に楽しんでいた。
 強い信念のもとで生み出される、繊細かつ大胆な音楽。今回のライブで、そんな彼らの音楽にすっかり魅了された人も少なくないだろう。(美馬香織)