[2面]微笑みのひととき 児童文化研究会

【全日 西1―105】
 西1号館の一角に、動物やマスコットの可愛らしい装飾がなされた教室があった。児童文化研究会のコーナーだ。ここでは1日に3回、人形劇が行われた。演目は『おとぎばなしのはじまりに』と『名探偵ギルVS怪盗ルート』の2本だ。
おとぎばなしのはじまりに』は、リーリエ王女とウィング王子の愛の始まりの物語。最初は仲の悪かった2人が、ひょんなことで一緒に魔女退治に出かけるところから話は始まる。人を助けることや「ありがとう」の大切さなどのメッセージが込められている。王子と魔女が戦う場面では、迫真の演技を見ることができた。
 一方の『名探偵ギルVS怪盗ルート』は、コメディータッチで描かれている。どんな事件でも解決してしまう名探偵ギルが、怪盗ルートに盗まれた宝物を取り返しにいくストーリーだ。登場人物が分かりやすい言葉でゆっくりと話し、推理の内容も理解しやすいものとなっている。ギルの謎解きと、どんでん返しの結末には、あっと驚かされた。
 上演が終わると、部員が人形を携え観客席へとやってきた。小さな子に話しかけたり、手にした人形で彼らと握手を交わしたりする。子供達も嬉しそうに、「楽しかった」と言葉を返していた。さらに、その後開かれた工作教室では、皆でブンブンゴマを制作。部員がコマを回してみせると、子供達はそれを興味深そうにじっと見つめる。教室には、始終微笑ましい空気が流れていた。
 またこの劇は、脚本もセットも人形も全て部員による手作りだ。そのためか、悪役の人形もどこか愛らしく親しみやすい。彼らは今回の公演のために、夏休みの終わり頃から練習を始めたそうだ。セリフを覚えかつ、人形の動作に合わせることに苦労したという。
 子供が見るものと思われがちな人形劇だが、ひとたび始まると大人も夢中になっていた。年を重ねてから見ると、幼い頃とはまた違った見方ができて面白いかもしれない。(須野原遼)