努力の日々報われた瞬間 漕艇部前主将横堀翠さん(仏4)

 今回お話を伺った横堀さんは漕艇部主将として、今年の8月まで第一線で活躍していた。引退試合となった第34回全日本大学選手権大会で彼女が得たタイトルは準優勝。本学におけるインカレでのメダル獲得は実に31年ぶりである。この試合は彼女にとって有終の美を飾るレースであると同時に、学習院としても名誉な一戦になった。
 横堀さんは去年のインカレでも決勝まで進んでいる。だが、当時は本来の力を出し切れずに4位という結果で終わってしまった。リベンジとなる今回は、準決勝で女子の王者である早稲田大を下して堂々の決勝進出を果たした。彼女はこの試合を「今までの中で最もプレッシャーが大きいレースでした」と振り返る。横堀さんの代は選手が彼女一人のみという状態が2年生の頃から続いていた。当然、今大会における受賞の期待も横堀さん一人の肩に大きく圧しかかる。さらに引退試合という場の重大さも相まって、強いプレッシャーとなったようだ。
 その圧力を跳ねのけ、見事準優勝という快挙を成し遂げられたのは、心の支えとなった人達がいたからである。彼女にとって、下級生やマネージャーの存在は大きかった。「ここでくじけた姿は見せられないという思いが強かったです。また、マネージャーにはサポート面で非常にお世話になったので、それに応えたいというのもありました。マネージャーはどんなに頑張ってもメダルは取れませんしね」と横堀さんは話す。
 そして彼女は今大会を通し、ボートとは頑張った分だけ結果に繋がるスポーツだということを改めて実感したという。「スポーツ推薦を行っている大学が多い中、本学のように大学から始めた人で構成されている部も上まで行けるんです。努力次第で高校までの経験の差は十分補っていけますね」と自信を持って語っていた。
 彼女の意思は後輩達にもしっかりと受け継がれ、引退後の漕艇部も全国進出という好成績を残している。部活という試合の場からは去ってしまった横堀さん。しかし、今後は人生の荒波を、ボートで得た力強い推進力で切り抜けていくに違いない。(和田恵理子)