翔春 〜院長から学生へ〜

  近年ますます国際化が進む中、大学というものの姿はどうあるべきか。また、そうした環境において、学生はどのような姿勢で大学生活を送るべきなのだろうか。今号では、波多野院長から新年を迎えるにあたってこれからの大学についてお話を伺った。
―今の日本の現状について、どのように思われますか。
 日本は今グローバライゼーションの中に取り込まれつつあります。既に、例えば経済面では外資東京証券取引所の基本となっているのに、外国人労働者を受け入れる体制は全く整っていません。これからは外国からもっと多くの人を受け入れるようになるでしょうから、様々な文化や行動態称を吸収しつつ、自らの国際競争力を養っていかなければならないと思います。
―国際競争力とは、具体的にはどのような能力なのでしょうか。
 日本人に最も欠けているものといえば積極性ではないでしょうか。大学の授業を受けていても、他の国の学生は、教師の質問に答えられない時でさえ挙手をして返答の姿勢を見せるか、逆に質問してくるんです。しかし、日本人の場合だとそうはいかなくなってしまいます。答えが分からないのに手は挙げられない、というように失敗を恐れ、何事も行動に出ないままなんですよ。これからは、自発的に行動して自分の能力を示し、自らの主張をもってこれを披露していくことが、国際競争力となってくるでしょうね。
―ではそうした能力を伸ばしていくために、大学側はどのように変わるべきなのでしょうか。
 授業のやり方を変える必要があるかもしれません。まず自分で考え、主張と提言をもつように訓練することですね。そして次に、英語力が上がるような仕組みを作り出すことが重要ですね。そのためには、講義を全て英語で行うような授業を増やす工夫がいるのではないでしょうか。そうした仕組みの上で、積極性を伸ばしていくという点に力を注ぐべきだと感じています。言語という道具を使いこなさずに、他国にアピールしていくのは無理でしょうから。
―多くの大学が日本にありますが、本学ならではの特質を、どのように伸ばせば良いのでしょうか。
 学習院らしさというものを端的に表すのならば、品格のあるおおらかさといえるでしょう。これからはこの校風のもとで、学生各人が自由で独創的な思考力を養い、それを率先して自己表現していくことが重要となります。本学らしさと、国際競争力とを融合させ、外へ向かう行動力のある人間を育てていきたいですね。
―最後に、学生へのメッセージをお願いします。
 大学時代というのは、多分一生で一番自由な時間を多く持てる時だと思います。視野を広げて多彩な経験を積むためにも、積極的に行動してほしいですね。チャレンジ精神を持って下さい。失敗してもいいから兎に角やってみましょう。部活動なども含めたこのような姿勢が、大学で学ぶことに大きな意味を持ってくれることを願っております。
――ありがとうございました。