チャンスを活かす新たな視点

 世界における、中国の発言力が強まっている。主要国首脳会議、通称G8に中国を加える案が提出されるなど、重要な役割を担う一国として世界が認めつつあるのだ。その他にも、資源高騰の最大の要因として中国の過剰輸入が指摘されるなど、様々な分野でその影響力を色濃くしている。
 彼らがなぜ、大規模な経済発展を果たしたのか。その大きな要因に、グローバル化が挙げられるだろう。これによって、運輸と通信技術の爆発的発展、文化と国境に囚われない貿易が促進されたのだ。そのため、中国には幾多もの外資系企業が参入していった。こうして、この国は独自の豊かな資源、驚異的な生産力を開花させ、今日の新興国としての地位を作り上げたのである。
 また、グローバル化はそれまで確立されていたビジネスの様式を一変させている。具体的事例として、先日、三菱商事とブラジルの情報システム大手会社との提携が発表された。その概要は、日本とブラジルの時差を利用した24時間体制の開発作業や、現地の安価な労働力を土台としたサービス提供を行っていくことだ。このニュースは、グローバル化した現代社会には、思いもよらない着眼点にビジネスチャンスが眠っていることを示している。
 このように、ビジネスの選択肢は日々多様化しており、世界経済はその局面を変えている。一方で、かつてアジアを代表する国であった日本が、世界に対する力を失い始めているのも事実だ。では、現在の経済の波を掴み、私たちが必要とすべき視点とは一体何なのか。その一つとして挙げられるのが、「誰にも負けない強み」を自身に作ることだろう。
 強みとは、一人ひとりが持つ長所を最大限まで伸ばすことである。ここで言う長所は、積極性や適応性、戦略性といった潜在的なものを指している。元来、私たちは各々が全く違った長所を持っており、その強みを活かして社会を作り上げてきた。それに対し現在は、短所を失くし、全てを満遍なくこなす人材が好まれる傾向にある。しかし、これでは傑出した長所を持つことはできない。現代社会に蔓延する価値観を捨て、長所を伸ばす柔軟な発想と創造力が不可欠なのである。そしてこの人間の力を活かす視点は、無尽蔵な生産力や資源を持つ大国に立ち向かうための、今後の日本の「大きな武器」となっていくのではないだろうか。(経営学科3年 下里豪平)