P3施設保有せず 自然科学研究棟

 現在本学では、生命科学科設置のためのプロジェクトを進めている。その一環である2009年8月完成予定の自然科学研究棟の建築をめぐり、週刊誌アエラに掲載された記事が波紋を呼んでいる。事の発端は、同誌が目白キャンパス内において「P3」施設の建築を進めていると報じたことだった。P3とは、バイオハザード(有害な生物が環境中に漏れることで発生する災害)を防ぐ基準を表すもののひとつだ。
 本学は、自然科学研究棟はP1レベルで設計されており、P3施設を必要とする実験は決して行わないとの説明を重ねてきた。P1レベルでは、通常の微生物学実験室を用いるので、特別隔離の必要はないとされている。現在、文科省に認められた一部高校でも同レベルの実験がなされていることから、危険性は高くないとわかる。しかし、過去数回にわたって開かれた住民説明会では住民の誤解を解くことはできず、現在に至ってしまった。そういった状況下で、アエラの記者が住民側の意見を取り入れ、記事にしたという経緯がある。
 また、研究棟建築によって目白の自然が失われるのではないかという主張もある。だが、研究棟建設予定地にあった植物は、大部分が学内に移植されるので、結果的に緑化率はほぼ変わらない。緑豊かなキャンパスはそのままに、生命科学という新たな分野を学ぶ場を学生に提供したい、というのが本学の意向だ。
 今回の件について、青崎智子広報課長は「アエラに対し広報課としては誠実に対応したつもりでしたが、コミュニケーション不足と言われたことは率直に反省すべき点です。メディア対応の難しさを痛感させられました。学生の皆さんにも、無用なご心配をおかけしたことをお詫びいたします」とコメントした。