万夫不当の本学攻守陣

 前回の対武蔵大戦で、本学は3―21と大量得点を許す完敗を喫した。今大会はトーナメント方式のため、もはや準優勝も望めない。昨年の優勝校である本学にとって、この結果は厳しいものだが、チームはこの敗北で弱点の克服に努め、決して士気を低下させなかったという。梅雨入り後とは思えない暑さに見舞われたグラウンドで、本学の勝ちにこだわる思いが成蹊大と衝突した。
 第1クオーターから本学は攻守共に冴えていた。序盤から守りの選手が、成蹊大の進攻を次々と防いでいく。攻撃に転じると、クオーターバックの山田創平選手(法3)を中心に、華麗なパス回しで敵陣を攻めた。そんな一糸乱れぬ絶妙なチームプレイから、本学は宮一龍之介選手(法3)のタッチダウンで6点を先取。FGも確実に得点する。この7点で勢いを強めた本学だが、中盤には敵陣15ヤード付近から前進できず両者の陣が膠着した。しかし、フレッシュでまたも攻撃の好機を得る。ランプレーで攻め上がり、小川陽平選手(営4)がタッチダウン。パットも決め、7点を入れた。
 第2クオーターに突入しても、本学は勝つことへの執念を途絶えさせなかった。山田選手を攻撃の起点に、ゴールライン近くまで一気にゲインする。そして、チーム全体で点を取りに行く熱い気持ちが、再び得点につながった。山田選手からピッチを受けた小川選手が、相手のタックルをかわし独走。そのままゴールラインへ滑り込んだ。この鮮やかなタッチダウンに、本学のみならず相手の応援席からも歓声が沸く。21―0と本学が優勢を保ったまま、試合は折り返し地点を過ぎた。
 ここまでおおむね順調の本学だが、第3クオーターで辛酸を嘗めることとなる。時間が経つにつれて守備の穴を突かれ始めたのだ。対する成蹊大も絶好の機会をものにできない。互いに一進一退の試合展開だったが、本学は残り4分17秒で、ついにこの苦境を打破した。インターセプトで流れを取り戻すと、山田選手がタッチダウンする。その後すぐに、佐藤健選手(済4)が味方のパスから走り込んで駄目押しの追加点。それぞれパットも成功させ、このクオーターだけで合計14点を取った。
 持ち前のチームワークの良さで、着実に相手との点差を広げる本学。勝利は決定的なものとなった。ところが、最終クオーターになると攻勢に乱れが生じる。ボールを前線に運ぶも、連携が噛み合わない。逆に、ロングパスで最後の猛攻を見せる成蹊大にタッチダウンされ、6点を献上してしまう。だが、本学はそれ以上の反撃を許さず、最終的にこの一戦を35―6の大差で勝利した。
 試合後に田辺晋主将(営4)は、「チームの粘りが足りず、最後で点を奪われたのは悔やまれます。ですが、この1勝は本学に勝つことの大切さを改めて教えてくれました」と語った。この大会で一段と磨きがかかった本学の団結力。どんな強豪にも果敢に立ち向かうチームは、次なる目標を一部昇格に定めた。この実現に向かって、本学はさらなる成長を遂げるはずだ。(石崎知世子)