明治の香り漂う 北別館・東別館

 入学式が行われる百周年記念会館を出ると、白い洋館が目に入ります。木々に囲まれ、ひっそりと佇んでいるそれは北別館。本学の史料館として使われている、伝統ある建物です。
 北別館は、学習院が目白に移転してから1年後の明治42年に竣工された、キャンパスでも一、二を争う古参。旧制時代は図書館として、校舎ゾーンと寄宿舎ゾーンの間に置かれていました。
 後の昭和50年、北別館に今の史料館が設置され、貴重な史料の保存や公開などに尽力してきました。そして昭和60年には東京都から博物館相当施設の指定を受け、学芸員資格に関する業務を担っています。資格を取得する方は、ここの事務室や実習室にお世話になることでしょう。また、史料館の所蔵史料は北2号館で随時公開されています。4月7日からは年に一度の特別展が実施されますので、訪れてみてはどうでしょうか。
 さて、北別館からさらに東側へ行くと東別館が見えてきます。この深い褐色に包まれた厳かな建築も、北別館とほぼ同時期に造られた古いものです。
 当時の学習院は全寮制で、東別館は皇族の別寮として使用されていました。秩父宮雍仁(やすひと)親王殿下を始めとする方々が学生時代を過ごした頃の間取りは、今でもほとんど変わっていません。ちなみに玄関のポーチ正面を飾っている桜の紋様は、向かい合わせに建てられた院長官舎のポーチのものと対を成して作られました。院長官舎は現在、愛知県の明治村で保存されているとのこと。
 ところで東別館はまだまだ現役の校舎であり、少人数の演習などでちゃんと教室として使われています。明治の面影を残すこの教室で学ぶことができればラッキーですね。あいにく授業がなくとも、いつでも見学することができますよ。
 正門付近に立ち並ぶ、情緒溢れる北別館と東別館。キャンパスを散策する際に探訪すれば、学習院の深い歴史を感じることができます。(筒井久実子)