アイスホッケー部前主将 飯田有斗さん

 今季までアイスホッケー部主将を務めた飯田さんは、大学に入ってからアイスホッケーを始めた。未経験からのスタートであったため、最初は氷上を滑ることも間々ならなかったという。
 コーチの厳しいトレーニングに耐え、ひた向きに練習に取り組んだ飯田さんは、1年の秋季リーグでデビュー戦を迎える。1年生でただ1人ベンチ入りを果たした彼は、「努力が認められたことが本当に嬉しかったです。最初の半年は、ただひたすら頑張った時期でしたから」と当時を振り返る。試合には後半途中から出場し、見事得点を決めた。「初めて試合のリンクに立ったときは、雰囲気に飲まれてしまいました。けれど当時の主将に、『ただ思いっきりやればいい』と言われ、緊張がほぐれました」とデビュー戦での心境を語った。
 デビュー戦を経て飯田さんは、基礎スケーティングや戦術の知識など、自分の足りないものの多さを再認識する。そこで飯田さんは、少しでも技術を向上させるために、様々な形で練習時間を増やしていく。社会人や他大学の練習に積極的に参加し、深夜練習も行った。また、陸上での走り込みにも力を入れ、足腰の強化を図る。デビュー戦以降の試合には全て出場し、試合経験を培っていった。
 こうしてチームの中心選手となった飯田さんは、3年の秋季に主将に選ばれる。それからは全体をまとめつつ、皆のモチベーションを高く保つことに重点を置いていく。その結果、チームの結束を強くすることに成功した。
 そして、引退試合となった秋季リーグ最終戦。その試合には、3年前の飯田さんと同じように、初出場の1年生がいたという。その1年生に、「ただ思いっきりやってこい」と言葉をかけた。4年間の積み重ねが、かつては雰囲気に飲まれていた飯田さんを頼れる主将へと成長させていたのだ。
 全くの初心者から始めたアイスホッケーを、妥協のない努力で上達させた飯田さん。彼の真摯な姿勢は後輩に受け継がれ、2部昇格という目標への原動力となっていくだろう。(下里豪平)