編集後記

 今回、「演劇」に焦点を当てたのには理由がある。それは演劇が、舞台装置や脚本、そして表現者たる俳優といった様々な要素が組み合わさることで成立する「芸術」であるからだ。その美のあり方は殊更な注目に値するだろう。
 さて、記事を書く上で、常に抱いていた疑問がある。演劇研究者が増える一方で、一般の若者の舞台離れが始まっているのではないか、という考えだ。しかし、アンケート結果などから判断すると、それは杞憂であったらしい。演劇を愛する心を持つ若者は、今も昔も変わらずいるのである。
 最後になったが、私は全ての若者が舞台を観るべきだと言うわけではない。しかし、演劇は後世に残すべき貴重な文化である。そのことを念頭に置き、多くの若者が舞台に関心を持つことを望んでいる。(賀来潤恵)